こんにちは、リコです。
日々離婚相談を受けていると、たまに
好きな人と結婚したいので早く離婚させてください!
という相談者様に出くわします。
しかもなぜかそういう人に限って、好きな人の存在を配偶者に把握されていたりします。
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相談に対する回答は?
・・・ごめんなさい!無理です!
相手がよっぽど寛大な心の持ち主で、早く再婚したくて離婚を望んでいる妻・夫の要求に快く応じてくれる人であれば、早期離婚も可能なのですが、実際にここまで寛容になれる人は多くありません。
そういう人は、存在はしていると思いますが、少なくともその場合には弁護士の世話にはならないので私が遭遇することもありません。
誰だって、浮気をされた挙句に浮気相手と結婚したいから早く別れてくれ、なんて言われた日には、絶対応じてやらないと思ってしまうのではないでしょうか。
そして、その場合、不貞が絡まないケースに比べて早期離婚が難しくなるのです。
早期離婚が困難な理由
まず、協議・調停といった話合いの段階では、よっぽど高額のお金を積まない限り、浮気相手と結婚したいから離婚してくれという理由で離婚に応じてもらうことは困難です。
そして、裁判となった場合には、他のケースと比べて長期間の別居期間が要求されることになり、これをクリアしていないと離婚が認められないのです。
民法770条1項は1号は、
「配偶者に不貞な行為があったとき」
に離婚を認めていますが、
配偶者ではなく「自分に不貞な行為があったとき」は離婚理由にはなりません。
そのため、民法770条1項5号に規定する「婚姻を継続し難い重大な事由がある」として、離婚を求めていくことになります。
このように、自分から夫婦関係の破綻を招いた配偶者のことを有責配偶者と呼びます。
そして、この有責配偶者からの離婚請求が認められるのかというのは、昔から大きな論点でした。
かつては、愛人と同棲中の夫からの離婚請求について、最高裁判所は、
- こんな請求が認められたら、妻は踏んだり蹴ったりだ。
- 法は、こんな不徳義勝手気儘を許すものではない。
として、有責配偶者からの離婚請求を認めませんでした。
この最高裁判決(最判昭和27年2月19日)は、俗に「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれています。
その後、そうはいっても形骸化した夫婦関係を残すのもよくないということで、徐々に判例法理が変化していき、有責配偶者からの離婚請求が認められる事例も増えてきましたが、それでも不貞が絡まないケースと比べて請求が認められるハードルは格段に高く設定されています。
有責配偶者からの離婚請求を認めるかどうかを判断する際の主な考慮要素は、以下の3つです。
- 別居期間が相当長期かどうか
- 未成熟子がいないか
- 相手方配偶者が離婚後精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれないか
このように、有責配偶者からの離婚請求を認めるための考慮要素として、相当長期の別居期間というものが要求されているため、不貞の絡まないケースに比べて別居期間が長くないと、離婚を認めてもらうことができないのです。
これが、好きな相手がいるから離婚したいという場合に早期離婚が困難な理由です。
まとめ
そんなわけで、あなたに新しく好きな人ができたために離婚したいという場合、きちんと離婚が成立する前に事を進めると、かえって離婚が難しくなる場合があるということを覚えておいていただければと思います。