こんにちは、リコです。
最近、尊敬する先輩ブロガーのテンさんから、こんな質問をいただきまして。
1個質問なのですが、婚姻費用って一般に言う離婚費用みたいなものですか?🤔離婚するのに婚姻ってなんか違和感だったもので
私は、このブログのいろんなところで婚姻費用について説明している気になっていたので、サッと適切な記事を選び出し、
婚姻費用について知りたかったら、これをお読みになって✨
って回答したかったのですが、
・・・あれ?ちょうどいい記事なくない?
・・・という事態に・・・(汗)
そんなわけで、改めて婚姻費用についての解説記事を書いてみたいと思います。
Table of Contents
婚姻費用とは
定義
婚姻費用とは、夫婦や子どもの生活費などの婚姻生活を維持するために必要な費用のことをいいます。
離婚協議においては、婚姻費用=別居後の配偶者の生活費+子どもの養育費となります。
婚姻費用は、略して婚費(コンピ)と呼ぶことも多いです。以後お見知りおきを。
婚姻費用が何かについては、こちらの記事で、比較的詳細に説明しています。
【仕事と婚姻費用】私、どれだけ稼いでいいですか?また、婚姻費用を請求するための手続きについては、裁判所のページをご確認ください。
参考 婚姻費用の分担請求調停裁判所裁判所のHPには、婚姻費用の請求に必要な事項がわかりやすく説明されています。
離婚協議における婚姻費用
婚姻費用が何かについては上述したとおりですが、一緒に生活している間は、特にクローズアップされることはありません。
これが問題になるのは、離婚に向けた別居が始まってからです。
同居中は、分担の仕方は夫婦それぞれとはいえ、当然のように生活費を支払っていますよね。
ですが、別居が始まると、そうは行きません。
例えば、妻が子どもを連れて勝手に家を出て行った場合、それでも
妻と子どもの生活が心配だ!生活費を払ってあげなくちゃ!
といって、生活費(婚姻費用)を払い続ける夫はそうはいません。
夫よ!なんていい奴なの・・・!
反対に、夫が自発的に家を出た場合でも、例えば妻のモラハラに耐え切れずに家を出たのであれば、
モラハラは辛いけど、妻は妻だし、生活費は払ってあげないとな・・・
とは、なかなか思えないと思います。
だけど、それでも、別居期間中も離婚が成立するまでは、収入の高い配偶者は収入の低い配偶者に婚姻費用を支払い続けないといけない、というのが婚姻費用のルールなのです。
ちなみに質問者のテンさん的には、離婚に向けて払ってるのに「婚姻費用」という名前が違和感だったそうです。私的には、婚姻期間中に払う費用=婚姻費用ということで特に違和感はなかったですが、そう感じる人もいるんですね。
離婚というと、養育費とか、財産分与のイメージが強い方が多い印象ですが、個人的には、離婚協議の主役は婚姻費用だと思っています。
なぜなら、婚姻費用の支払の要否やその金額が、離婚協議の進め方に大きな影響を与えるからです。
婚姻費用が絶大な威力を発揮するケースでは、相手を婚費地獄に陥れることも、相手を身ぐるみ剥がすこともできますからね・・・!
威力が発揮できないケースでは、脇役どころか、登場すらしないこともありますけどね・・・
婚姻費用の怖い話
そんなわけで、婚姻費用は侮れない、主役級のお方なのです。
ただし、婚姻費用が猛威を振るうのは、夫婦間の収入に差があるときだけです。
典型的には、高年収夫と専業主婦の場合です。
もちろん妻の方が収入が多ければ、妻が婚姻費用を支払う必要があるのですが、実際には、妻は子どもと一緒に生活している場合が多いので、夫に対して多額の婚姻費用を支払わないといけないケースは滅多に見かけません。
以上を踏まえて、婚姻費用の主役級の実力(?)を見てみましょう。
算定方法がエグい
これは、主に大手企業や金融機関に勤務しているサラリーマンに当てはまる話ですね。
婚姻費用というのは、基本的には算定表に基づいて双方の年収ベースで算定されるのですが、その年収というのが額面金額なのです。
だから、こんなことになっちゃうわけです。
婚姻費用と養育費ー本当の年収に与えるインパクト逆に自営業者の人に関しては、自分で利益をコントロールできたりするので、実際にはもっと稼いでいるはずなのに、低い金額しか請求できないということもあります。
正直脱サラする人が増えると、この点に関しては厄介なんですよね・・・
終わりが見えない
婚姻費用の支払期間は、離婚が成立するまでです。
・・・それっていつまで?
ってなことになるわけですが、回答は、
わかりません!!!
だって、それぞれの夫婦の状況や不貞の有無、性格などによっても全然違ってくるから。
高年収夫には、終わりの見えない婚費地獄が待ち受けているわけです・・・!
婚費地獄の実態については、こちらの記事をご参照ください。
高年収夫に離婚を迫っているあなたへ実際に、妻と数か月しか同居していないのに、その後10年以上にわたって高額の婚姻費用を借金をしてまで支払い続けている夫もいました・・・恐ろしい・・・
ガッツリ持っていかれる
いつ終わるともわからない婚費地獄から抜け出したい夫は、
頼むから、離婚に応じてくれ・・・!
ってなるじゃないですか。
そうすると、妻側がなんていうかというとですね、こんなことを言い出すわけですよ。
じゃあ、あなたが今後5年間で支払うことになる婚姻費用を財産分与に上乗せしてくれたら、離婚に応じてもいいわよ?
それで、こんな感じで会話が続いていくわけです。
5年分って・・・1か月30万円だから1800万円も?
財産分与に加えて更に1800万円も支払えっていうのか?
そんな大金払えるわけないじゃないか・・・!
だったら別にいいわよ。
離婚しなきゃいいだけなんだから。
毎月30万円よろしくね。
それじゃ俺の生活がもたないから、早く離婚してくれって言ってんだろ!
そんなこと知らないわよ。
早く離婚したいんだったら、借金でもなんでもしてお金作りなさいよ。
・・・お前は悪魔だ!
・・・みたいな。
妻は、このように、ここぞとばかりに積年の恨みを晴らすわけですね。
高年収夫から離婚を迫られているあなたへ不貞行為によってパワーアップ
ちなみに、高年収夫が不貞行為でもしようものなら、婚姻費用の威力は更に倍増します。
なぜかというと、通常よりも長期間別居をしないと、離婚請求が認められなくなるからです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
不倫するのちょっと待って!婚姻費用を受け取る側の注意点
・・・いかがでしたか?
婚姻費用、怖いですね・・・
そんな主役級の婚姻費用ですが、受け取る側にも注意点があります。
注意点1
自分自身が不貞行為をした時には、婚姻費用をもらうことはできません。
自分で不倫したくせに、婚姻費用を支払えっていうのは、ムシが良すぎない?
ってことですね。
ただし、子どもに罪はないので、子どもがいる場合には、婚姻費用のうち子どもの養育費相当額だけ支払ってもらうことができます。
こちらも詳しくは、先程の記事をお読みください。
注意点2
婚姻費用を調停や審判といった裁判所の手続で決める場合には、遡って支払を強制できるのは、調停の申立時までです。
なので、例えば2021年9月に別居した場合、同月から婚姻費用の支払義務は発生しますが、
婚費払って!!
嫌だ!
というやり取りを年末まで繰り返し、2022年の1月に妻が調停の申立てをした場合、金額が決まった時点で、遡って請求できるのは、別居を開始した2021年9月ではなく、2022年1月からの婚姻費用ということになります。
なので、あまり協議には時間をかけ過ぎず、スムーズに支払ってもらえないようなら、なるべく早めに調停を申し立てることをおすすめします。
婚姻費用の威力を知って離婚を回避しよう!
以上のとおり、婚姻費用というものは、年収の高い配偶者(特に専業主婦の妻がいる高年収夫)にとっては、凶器以外の何者でもありません。
- エグい算定方法によって予想外に高額となり、
- 終わりの見えない婚費地獄に陥り、
- そこから逃れようとすれば、ガッツリ財産を持っていかれる
ことになるわけですね・・・
さらに、高年収夫が不倫でもしていようものなら、目も当てられないですね・・・
こんなことになるくらいであれば、質問者のテンさんのように、円満な夫婦関係を継続した方が、よっぽどいいと思いませんか?
お金の管理方法を見直せば、夫婦関係の改善が見込めるとともに、思わぬ婚姻費用の高さにショックを受けることもなくなると思いますので、
婚費地獄なんか嫌だ・・・!
と思ったそこのあなたは、ぜひこちらの記事もお読みください。
結婚したら家計は共有しよう!