こんにちは、リコです。
離婚の仕方はいくつかありますが、もつれにもつれた場合の最終手段として残されているのが、裁判です。
離婚事件を扱っていて、裁判になる前に離婚に応じるように働きかけると、たまに
あんたが楽したいから、裁判したくないだけなんでしょ!
弁護士なんか所詮ビジネスよね!
みたいな暴言を吐かれることがあります。
主に「絶対に離婚に応じない人の特徴3つ」という記事で書いたような人たちに。
個人的には、こういう人たちにとっても、どう考えても裁判になる前に離婚に応じた方が良いと思っているからこそ、勧めてるんですよね。
なので、この記事では、いくら離婚したくなくても裁判になる前に離婚に応じた方が良いと思う理由について書いてみようと思います。
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理由その1:弁護士費用が安くて済む
正直、これは瑣末な理由かもしれません。
通常の場合
通常、弁護士費用というのは、協議→調停→裁判と手続が進むに従って高くなっていきます。
そして、調停までは話をすることがメインなため、弁護士をつけずに自分で対応することもできるのですが、裁判になると、言いたいことは全て書面にすることが要求されます。
しかも裁判特有のルールなどもあるので、実際問題として、日常生活を送りながら自分で全て書面を作成するということは非常に困難です。
なので、裁判になる前に離婚に応じれば、弁護士を雇わずに済むか、弁護士費用を安く抑えることができますが、裁判になってしまうと弁護士を雇わないことは難しい上に、費用も高額になってしまうのです。
絶対に離婚に応じない人の場合
ところが、絶対に離婚に応じない人たちは、そもそも弁護士に依頼しません。
いくら裁判官や裁判所書記官に勧められても、頑なに弁護士に依頼することを拒否します。
こういう人たちにとっては、離婚を勧めてくるような弁護士に依頼するなんてもってのほかですし、弁護士の方としても、絶対に離婚させないことはできないので、こういう人たちの依頼を受けることができないんですよね。
仮に依頼を受けたとしても、
いつかは絶対に離婚しないといけないんですよ。離婚に応じなくても強制的に離婚になっちゃうんですよ。
と言わざるを得ないので、たいてい逆ギレされて、解任されるのが目に見えています。
なので、この理由は、絶対に離婚に応じない人にとっては意味がないかもしれません。
理由その2:有利な条件を引き出せる
これは結構大きな理由だと思います。
通常の場合
よく言われる離婚事件の相場というのは、最終的に裁判官が判断したらこうなるよね、という数字です。
各要素の相場については、こちらの記事をご参照ください。
だけど、裁判官の判断にたどりつくまでには、膨大な時間がかかるため、離婚したい人たちは、なるべく話し合いで離婚を成立させたいと考えます。
そこで、離婚協議の初期の頃は、
今すぐ離婚に応じてくれるなら、婚姻費用と同じ額の養育費を支払うよ。
とか、
今すぐ離婚に応じてくれるなら、財産分与はなしでもいいわよ。
とか、
今すぐ離婚に応じてくれるなら、財産の8割を君に渡すよ。
とか、有利な条件を提示してきます。
だけど、だんだん離婚協議が長期化していき、裁判が目前になってくると、
どうせ裁判になったら算定表どおりの金額になるんだし、今更多く支払う必要なんかないや。
となって、有利な条件を提示しようというインセンティブがどんどん失われていきます。
その結果、離婚を請求されている側にとっては、裁判になる前に離婚に応じれば、有利な条件で離婚できたにもかかわらず、離婚に応じなかったために、不本意な条件で離婚せざるを得なくなるわけです。
絶対に離婚に応じない人の場合
絶対に離婚に応じない人たちは、そもそも離婚を前提にした協議を頑なに拒絶するため、離婚したい側に有利な条件を提示する隙すら与えません。
こういう場合は、離婚したい側も最初から話にならないことがわかりきっているため、敢えて有利な条件を提示するという気力もなく、ひたすら別居期間が経過するのを待っていることが多い印象です。
その意味では、絶対に離婚に応じない人たちは、自ら有利に離婚するチャンスを捨てているといえるかもしれません。
もっとも、彼らの中には有利だろうがなんだろうが、そもそも「離婚する」という選択肢自体がないのですが。
理由その3:公の場でこれでもかというほど傷つけられる事態を避けられる
個人的には、これは一番大きな理由ではないかと思っています。
通常の場合
離婚裁判というのは、離婚させるべきか否かを判断するために行われるので、離婚したい側は、離婚させるべきと裁判官に思ってもらうために、いかに夫婦仲が悪いか、いかに相手がひどい奴だったかを、これでもかというほどに主張します。
そうすると、言われた方としては、当然反論したくなるわけですが、反論すればするほど、対立は激化して、
こんなに仲が悪いなら、離婚させた方がいいよね。
と思われてしまうので、思うように反論できません。
しかも反論すること自体が、相手から指摘された自分の嫌なところを一つ一つ受け止める作業を必要とするので、ものすごく精神的に辛いと思います。
私も離婚したい側の代理人で、離婚裁判の書面を作成しているときは、
何もここまで言わなくても・・・
と、相手が可哀想になることがよくあります。
なので、人によっては、裁判になって離婚したい側から離婚したい理由を突き付けられると、まともに反論する前に離婚に応じる意思を表明し、純粋に条件面の話し合いだけを求めるケースもあります。
絶対に離婚に応じない人の場合
絶対に離婚に応じない人たちにとっても、これが一番苦痛なんじゃないかなと思います。
というのは、絶対に離婚に応じない人というのは、自分自身が離婚しかかっている事実を受け入れ難いので、周囲に対しても相手から離婚を突き付けられている状況をひたすらに隠そうとしていることが多いのです。
このような人たちにとっては、裁判は恐怖でしかありません。
だって、公の場で、自分が離婚の危機に晒されていることが露見してしまうわけですから。
実際には、傍聴人はほとんどいませんけどね。
なかには、
裁判なんかしたら絶対絶対絶対許さないから!!!
みたいな脅しをかけてくる人もいたりして。
じゃあ離婚に応じてくれるの?
それは絶対に嫌!!!
じゃあ裁判するしかないじゃん。。。
みたいな。
それで結局裁判が始まると、前述のように、絶対に離婚に応じない人たちは弁護士を雇わないので、不本意な相手の主張に対して、これでもか、これでもかと反論をしてきます。
なので、はたから見ると、離婚したくないと言いながら、離婚への道まっしぐら、という状況なんですよ。
これって結構辛くないですか?
そして、公開の法廷で、散々お互いの悪口を言い合った末に、無情にも離婚の判決が言い渡されることになるわけです。
こんな目に遭うくらいだったら、非公開の手続である調停段階までで有利な条件で離婚に応じて、離婚後も旧姓に戻らず、離婚したことを周囲に言わずに生活をしていた方が、よっぽど本人の目的にも適っていると思うんですよね。
まとめ
以上のとおり、裁判になる前に離婚に応じると、
- 弁護士費用を安く済ませることができますし、
- 有利な条件を引き出しやすいですし、
- 公の場でこれでもかというほどに傷つけられることもありません。
別居期間が長期化すれば、いずれ離婚は認められてしまうということを念頭に置いて、ご自身の心が一番安定する選択をしていただければと思います。