こんにちは、リコです。
裁判というものは、たいてい勝ち負けがハッキリします。
離婚も裁判になれば、請求が認められるかどうかというところで、勝ち負けはつきます。
ですが、他の類型の紛争と違って、離婚に関する紛争においては、勝ちすぎてもダメということがよく言われます。
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圧勝した場合とは
そもそも何をもって勝ちとするのか、という問題はあるのですが、よくあるパターン(妻が子を引き取るケース)でいうと、
離婚したい妻の場合
・離婚するまで高額の婚姻費用を支払ってもらい、
・離婚するときに高額の財産分与をもらい、
・離婚後は高額の養育費を支払ってもらい、
・夫を子どもに会わせない
離婚したい夫の場合
・離婚するまで婚姻費用を支払わず、
・離婚するときに財産分与はせず、
・離婚後は養育費を支払わず、
・子どもには頻繁に会わせてもらう
というのが、圧勝したといえるケースかなと思います。
・・・どうでしょう?
圧勝したとすると・・・
仮に調停や裁判を通じて上記の目的を全て実現できたとすると、相手からしたらとんでもないですよね。
おそらく、妻が圧勝した場合、夫は近い将来養育費の支払を止めてしまうでしょう。
調停や判決等で養育費が決められている場合には、給料を差し押さえることができますが、人によっては、そもそも会社を辞めてしまい、合法的に養育費を減らそうとする人もいます。
そこまでは行かないとしても、この状況で
子どもを私立に行かせたいから、追加でお金ちょうだい。
とか言っても、絶対に断られますよね。
さらに子煩悩な夫ほど、子どもに会わせてもらえないダメージは大きいですから、心が折れて命を絶とうとしたり、完全に行方をくらましたりすることも考えられます。
そうなってしまったら、せっかく高額の養育費を決めることができたとしても、結局妻の目的は果たせなくなりますし、何よりも子どもを傷つけることにもなってしまいますよね。
逆に夫が圧勝した場合、妻にしてみれば、夫は物理的にも経済的にも父親としての義務を全然果たしていないのに、自分が会いたい時だけ子どもに会いに来るような状況で、腹立たしいことこの上ないですよね。
そうなってくると、やはり子どもに会わせなくなったりはするでしょうし、隙あらば養育費の増額を求めてくるのではないでしょうか。
なので、調停や裁判を通じて全て自分の希望どおりの条件を実現したとしても、結局相手に恨みだけが残ってしまって、約束を守ってもらえなくなる可能性が非常に高いのです。
これが、離婚に関しては勝ちすぎてもダメと言われる所以です。
実際は・・・
でもまあそもそもこれを実現できるのは、
離婚したい妻の場合であれば、
夫が超高収入かつ財産を貯め込んでいて、さらに子どもを虐待していた
離婚したい夫の場合であれば、
夫が無職無収入で貯金もないけど、子どもにはめちゃくちゃ好かれている
といったようなかなり極端なケースに限定されると思います。
実際には、お互いが合意しない限りは、裁判所の関与のもとで、
婚姻費用については双方の年収ベース
財産分与については基準時点の財産を半分こ
面会交流はなるべく会わせる方向で
という形で進められることがほとんどですので、トータルで見ると、ある程度バランスの取れた(どちらか一方の希望だけが叶っているわけではない)形に落ち着くことがほとんどです。
こうやって見ると、離婚にまつわる紛争においては、全て自分の要求を通そうとするのは却って不本意な結果になることがありますので、あまりオススメできません。
自分がこれだけは譲れないと考えるポイントがあるとしたら、その条件を勝ち取るためにはどこで譲歩できるのか、双方が満足できる落とし所はあるのか、といった観点から、ご自身を取り巻く状況を俯瞰できると良いと思います。
・・・離婚紛争中は頭に血が上っていることが多いので、これが結構難しいのですが・・・