【財産分与は半分で十分?】離婚協議でよく見る認識のズレ

こんにちは、リコです。

日々離婚案件を取り扱っていると、同じような認識のズレを頻繁に目にします。

認識のズレその1ー財産分与

まずよくあるのが、こんなやり取り。

夫

俺と離婚したら生活大変だろ?俺の財産半分くれてやるよ!

(だから当然離婚に応じるよな?)

妻

何言ってるの?半分なんてもらって当然の最低ラインじゃない!その程度で離婚に応じるとでも思ってるの?

よく言いますよね。コップに半分入った水を、「半分入ってる」と見るのか、「半分しか入っていない」と見るのか・・・

私

コップの水理論て言うんですね!

夫からしてみたら、自分の財産を半分くれてやるのは出血大サービス、椀飯振舞いなんですよ。

だけど、財産の半分というのは、裁判をすれば裁判所が認めてくれる金額です。離婚までの期間を長引かせて、十分に婚姻費用を支払ってもらった上でも受け取れるので、妻としては早期離婚に応じるインセンティブには全くならないんですよ。

なので、最近も

夫

妻と近々離婚しようと思ってるんですよ。でも妻は離婚したら生活が大変になっちゃうと思うんで、◯千万円(夫の財産のちょうど半分)あげようと思ってるんですよね。

という相談があったので、

私

確かに金額としては大きいですが、まだ別居期間がほとんどないので、その金額ですぐに離婚に応じてもらうことは難しいと思いますよ。妻側の心理としては、その半額からいくら上乗せしてもらえるのか、という風に考えるので、半額というのは最低ラインです。

とお伝えしました。

認識のズレその2ー婚姻費用・養育費

これもよくあるのですが、

夫

俺は月に◯万円(算定表どおりの金額)も払ってるんだぞ!親としての責任は十分に果たしている!

妻

算定表どおりの金額なんかで足りるわけないでしょ?何偉そうにしてんのよ!

というやり取り。

2019年12月に算定表が改訂されて金額が上がったこともあり、夫側からしてみれば、算定表どおりの金額でもかなりの負担だったりします。

だから、算定表どおり支払っていたらもう十分だろうという感覚なんですよね。

だけど、妻からしてみれば、算定表どおりの金額でやり繰りするのは大変なんですよ。

というのも、同居中はもっと生活費をもらっている場合が多いので、それよりも金額を減らされるとなると、急に生活レベルを下げないといけなくなるからです。

なので、

夫

算定表どおりの養育費はきちんと支払うよ。

(だから当然離婚に応じるよな?)

という提案は本っ当に無意味です。

すぐに離婚に応じて欲しいなら、

夫

離婚後も婚姻費用と同額の養育費を支払うよ。

ぐらい言うべきでしょうね。

認識のズレその3ー年金

これは上記2つと比較すると、あまりお見かけしませんが、たまに

夫

すぐに離婚に応じてくれるんなら、俺が将来受け取る年金を半分あげてもいいと思ってるんですよねー

みたいなことを言う方に出くわします。

だけど、これも年金分割という制度があって、厚生年金に加入している場合には、仮に夫が嫌だといっても、婚姻期間中に支払われた保険料を夫婦同額にすることが可能なので、妻が早期離婚に応じるインセンティブにはならないんですよね。

私

年金分割制度についてはこちらでご確認ください。

ズレを解消してスムーズな離婚を

そんなこんなで、当初は大きく乖離している夫婦間の認識のズレを調整していくのが離婚協議ということになります。

これから妻に離婚を請求しようと思っている方がいらっしゃいましたら、上記の認識を修正しておくと、早期離婚を実現しやすくなるかもしれません。

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