こんにちは、リコです。
最近、立て続けに専業主婦の方からの「離婚したい」という相談を受けたのですが、やんわり押し戻してしまいました。
理由は、まだ離婚の準備ができていないと思ったから。
そこで、この記事では、離婚したいと考えている専業主婦の方に向けて、離婚の準備について書いてみようと思います。
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離婚に必要な準備
離婚に必要な準備とは、以下のとおりです。
物質面
とにかく夫からの経済的援助が一切なくなっても最低半年(できれば1年)は生活ができる状況を整えることが必要です。
へそくりを貯めるでも、親を頼るでもなんでもいいと思います。
心理面
夫に経済的に頼らないというマインドを手に入れることが必要です。
準備が必要な理由
なぜこのような準備が必要なのでしょうか。
物質面
これまで離婚なんて考えたこともなくて、なんの疑問も持たずに妻や子どもの生活費を負担していた夫は、妻から離婚を切り出されると、

なんで俺のことが嫌いで離婚したいと思っている奴の生活費を俺が払わないといけないんだ!!
となって、生活費の支払をストップする恐れがあるからです。
もちろん、現実的に妻子が大変だろうと考えて、離婚を切り出された後も生活費の負担を続けてくれる素敵な夫もたくさんいます。
だけど、そうじゃない夫もたくさんいるのです。
婚姻費用の額が決まるまでは支払われない可能性がある
夫が自発的に生活費を支払ってくれない場合、調停を申し立てて、裁判所で婚姻費用(=妻の生活費+子どもの養育費)の額を決めることになります。
婚姻費用の額が決まれば、その後は支払を強制することができますし、調停を申し立てた月までは遡って婚姻費用を支払ってもらうことも可能です。
だけど、婚姻費用の額が決まるまでに、かなりの時間がかかり、その間、一切生活費がストップする恐れがあるのです。
「かなりの時間」は人それぞれですが、調停を申し立ててから初回の期日までに1か月以上はかかるので、最低でも1か月以上はかかります。
初回期日で婚姻費用が決まることもないわけではないですが、多くのケースでは、決まるまでに短くても3回くらいの期日が必要となります。
現在、裁判所は、2020年の緊急事態宣言に伴い一時的に業務を停止して以降、その間に溜まった業務の処理が追いついていないので、東京や横浜などの裁判所では、調停期日の頻度が2か月に1回くらいのペースになっています。

従前はだいたい1か月に1回くらいのペースでした。
そうすると、3回目の期日で決まったとしても、それまでに半年はかかる計算になります。
特に夫の怒りが激しくて、婚姻費用の支払に抵抗するケースでは、なかなか合意ができず、婚姻費用の額が決まるまでに1年とか1年半とかかかるケースもあります。
仮払いしてもらえない可能性もある
通常、婚姻費用の額が決まるまでの間は、仮払いというものを求めます。
これは、まだ正式に婚姻費用の額が決まっているわけではないけど、どうせ決まったら、調停申立て時までは遡って支払わないといけないのだから、決まるまでの間もある程度支払っておいてね、というものです。
例えば、婚姻費用の額がだいたい20〜22万円の範囲内で決まりそうだな、という見通しをつけた場合に、決まるまでは毎月15万円くらいを支払っておく、というような場合です。
仮に調停申立てから半年後に、婚姻費用の額が20万円と決まった場合、仮払いをしていなければ、その時点で120万円の支払義務が発生しますが、仮払いをしていれば、未払い分は(20ー15)×6か月=30万円になるので、夫の方からしても、仮払いをしておくことで、一括払いのインパクトを軽減することが可能になります。
だけど、妻に対する怒りが強くて、高額の婚姻費用の支払に納得のいかない夫は、仮払いに応じてくれない場合が多いのです。
そして、そういう夫ほど、徹底抗戦するので、婚姻費用が決まるまでの期間が長期化するということは上述のとおりです。
まとめ
そんなわけで、相手の反応次第では、半年から1年、ひどい時にはもっと長期間、夫からの経済的援助が一切なくなる可能性があるのです。
この辺りについて、何も考えずに、衝動的に離婚しようとすると、確実に経済的に困窮します。
心理面
これも不思議な話なのですが、相談者さんの話を聞いていると、無意識に、離婚後も夫の経済力をあてにしている方が多いんですよ。

夫と離婚したいんです!夫に離婚するって言おうと思います!

離婚を切り出した場合、生活費がストップする恐れがありますが、大丈夫ですか?現在の収入はどのくらいありますか?

え?離婚したって養育費もらえますよね?それに離婚するまでは婚姻費用がもらえるとも聞きました!
私は専業主婦なので、収入はありません!

確かにきちんと決めれば、婚姻費用や養育費を払ってもらうことはできますが、決まるまでの期間、一切支払われない場合もあり得るんですよ。
それに、婚姻費用の額は、あなたが現在夫から受け取っている金額よりもかなり少なくなると思いますよ。離婚後の養育費はもっと少なくなります。それでも大丈夫ですか?

・・・・・・大丈夫じゃないです。。。
人によっては、むしろ今までそんなにもらってなくて、きちんと決めた場合の方が金額が大きくなるケースもあるんですけどね。
だけど、夫の経済力をあてにしているケースでは、今まで不自由なく生活できていたんだろうな、と感じる場合が多いので、たいてい上記のような展開になります。
特に、子どもがいないか、すでに成人しているケースでは、離婚をすれば、婚姻費用も養育費ももらえませんので、毎月安定的にお金を受け取るということは、基本的には想定されていません。

離婚条件で毎月の支払を決めることは可能です。
だけど、実際にそうなった時にどうやって生活していくかの目処が立っていないでご相談される方も多いのです。
準備は大切
もちろん、深刻なDVを受けているとか、一刻も早く退避した方がいいようなケースでは、準備云々よりもまずは身の安全の確保が最優先です。
だけど、夫への不満はありつつも、通常の生活が送れているようなケースでは、やはりある程度の準備は必要だと思うのです。
逆に言えば、夫の経済力をあてにしない、という覚悟もなく、夫への離婚を突きつけるべきではないと思うのです。
きっと、専業主婦の方には、家事や育児に追われて逃げ場がないとか、私には到底理解できない大変なご苦労があるのだろうと思います。
でも、だからといって、安易に離婚に解決を求めるということは、その苦労に更に経済的な苦労が上乗せされる、という事態を招きかねないのです。

・・・仕事のことを考えたら、離婚の依頼をしてもらった方がいいんですけどね。
だけど、未婚の私からすると、夫婦という存在はそれ自体が奇跡なので、こうやってコッソリと、なるべく離婚しない方向で、1組でも円満夫婦が増えるといいなと思って記事を書いているのでした。

・・・やっぱり余計なお世話ですかね。