こんにちは、リコです。
日々離婚事件を扱っていると、現在の弁護士に不満があって、私が所属している事務所に弁護士を変えるという方に頻繁に遭遇します。
逆にお客様に不満を抱かせてしまって弁護士を変えられたことがあるのは内緒です。
弁護士に依頼するということは、それなりに費用のかかる話ですし、途中で弁護士を変える場合、タイミングによっては、着手金を2回支払うことになるなど、単に弁護士に依頼する場合よりも費用がかかってしまうことになります。
せっかく弁護士に依頼したのに、途中で弁護士を変える羽目になるなんて、嫌ですよね。
そこで、この記事では、依頼者さんから聞いた途中で弁護士を変えた理由を踏まえて、離婚事件の際に弁護士を選ぶポイントについて書いてみようと思います。
Table of Contents
弁護士選びのポイント
ズバリコミュニケーションの取りやすさです。
これが一番大事。
実績とか権威性とかよりも、とにかく自分とフィーリングが合って、話しやすい人を選ぶのがいいのではないかと思います。
弁護士を途中で変えた理由
途中で弁護士を変えた依頼者さんに、その理由を聞いてみると、次のような理由でした。
- 弁護士が自分の意向を相手に伝えてくれない
- 弁護士の主張が自分の意向と乖離している
- 弁護士の書く書面が自分の意向を反映していない
- 弁護士の反応がとにかく遅い
- 弁護士が全然状況を教えてくれない
- 弁護士にとにかく会えない
①から③は、弁護士の弁護活動が、依頼者の意向に沿っていないということですね。
自分は面会交流に消極的なのに、弁護士がどんどん面会交流をさせようとするとか、そもそも自分はあんまり離婚したくないのに、弁護士がグイグイ離婚を進めようとするとか。
もちろん、依頼者の意向が法律で実現できる範囲を超えているような場合など、弁護士が依頼者の意向に沿うことができない場合もあります。
だけど、依頼者と弁護士との間で十分に話し合った上で行われる弁護活動であれば、それが本来の依頼者の意向とはずれていても、途中で弁護士を変えるほどの不満には繋がらないと思うのです。
ところが、これらのケースの依頼者さんは、それができなかったんですよね。
なんとなく、相談しづらい。。。
正直な気持ちを伝えたら、怒られそう。。。
とか思ってしまったのだと思います。
④から⑥は、弁護士の方がごめんなさい、という感じですが、これも最初から十分にコミュニケーションが取れていて、依頼者の方からも気軽に質問したり打ち合わせを希望したりできる関係であれば、あまりこういうことは起こらないのではないかと。
ちなみに、④は、毎回依頼者のメールに対して返信が1週間後とかだったそうです。
さすがに1週間後は遅いと思いますが、弁護士の状況によっては毎日膨大な量のメールに追われてたりするので、常に即レスを期待するのは厳しいかもしれません。
もちろん可能な範囲で早く返信する努力はしてますが・・・
心配であれば、依頼する前に、だいたいどのくらいのペースで返信がもらえるのか確認してみるといいと思います。
⑤は、依頼者が弁護士に渡した資料が裁判所に提出されているかどうかも全然教えてもらえなかったケースです。
引き継いだ私たちが裁判所に確認したところ、依頼者がすでに提出していると思っていた資料の大半が未提出の状態でした。
これはさすがに弁護士の方がちゃんと報告しないとダメでしょ、とは思いますが、どの程度細かく報告するかも弁護士によって変わってきますので、依頼する前に、どんな感じで状況報告をしてもらえるのか確認してみるといいと思います。
⑥は、その事務所の方針が、連絡窓口は全部事務員さんという形になっていて、弁護士とはほとんどコミュニケーションが取れなかったようです。
この辺りも、依頼する前に、今後の相談や方針決定についてどのような形ですることになるのかを確認しておくといいと思います。
逆に言えば、依頼する前の相談段階で、こういったことを確認しにくい感じであれば、その弁護士に依頼するのはやめた方がいいかもしれません。
離婚事件の特徴
離婚事件は、その特徴から考えても、実績重視というよりは、コミュニケーション重視で弁護士を選んだ方がいいと思います。
特徴その1:長期化しやすい
離婚事件って、協議→調停→訴訟という順で進んでいくわけなのですが、それぞれに1年以上かかったりとか普通にするので、とにかく全体を通して事件が長期化しやすいんですよね。
なので、弁護士と付き合う期間も当然長くなるわけです。
それなのに、いちいちコミュニケーション取るのに緊張するような弁護士だと、ストレスになりませんか?
ただでさえ、事件の相手方とのやり取りでストレスが多いのに、その間を取り持ってくれるはずの弁護士とのやり取りでストレスを感じていては本末転倒です。
特徴その2:言いづらいことが多い
離婚事件は、どちらかが一方的に悪いというケースは少ないです。
ということは、たいてい自分にも都合の悪い部分があって、それも弁護士に伝えないといけない場面が出てくるんですよね。
だけど、言いづらいからといってそれを伝えないでいると、それを知らない弁護士が変な弁護活動をしちゃったりして、余計に変な方向に行ってしまう危険性があるので、言いづらいことでも伝える必要があるんですよ。
なので、やっぱり言いづらいことでも言える雰囲気の弁護士じゃないと精神的にツライです。
特徴その3:合理的でない選択をしがち
離婚事件というのは感情的な対立が大きいので、頭では分かっていても、合理的でない選択をしがちです。
この場合、弁護士によって、
- 合理的でない選択に付き合ってくれる人
- 合理的でない選択に付き合ってくれない人
に分かれます。
だけど、相談する側からすると、結論的に弁護士が自分の選択に付き合ってくれず、自分の意見を相手に伝えてくれなかったとしても、そこに至るまでに弁護士と十分に話し合うことができて、なぜその弁護士が自分の意見を採用しないのかを十分に説明してもらえたら、納得できるし、不満は抱かないと思うんですよ。
逆に、自分とろくに話し合いもせずに、機械的に自分の意見を相手に伝えるだけだと、それはそれで不安になったりしますよね。というのも、相談する側は、自分の意見が合理的でないということを頭では分かっているので。
つまり、合理的でない選択のまま突っ走るのか、合理的でない選択を軌道修正するのか、どのような方針を採用するにしても、それまでにどれだけ弁護士と十分に話し合えたかによって、依頼者の満足度は変わってくると思うのです。
そうなるとやはり、コミュニケーションが取りづらい弁護士と納得のいくまで話し合うというのはハードルが高いですよね。
特徴その4:裁判所の裁量が大きい
家事事件は、裁判所の裁量が大きいです。
養育費の算定方法や財産分与の方法など、ざっくりとしたルールは決まっていても、細部については色々な決め方があって、どの方法が採用されるかは、事件を担当する裁判官によって左右されます。
また、各家庭内の争いは、似たようなケースであっても全く同じということはあり得ないので、他の事件でこうだったから、本件でも必ずこうなる、ということは言えません。
そう考えると、これまでの実績というものをあまり重視する必要はないのではないかと思います。
こちらの事務所での勝訴確率はどれくらいですか?
とかよく聞かれるんですけど、全く意味ないと思うんですよね。
そもそも全く同じ事案はあり得ないですし、何をもって「勝訴」というのかも人によって異なりますし。
なので、仮に
A弁護士は実績は十分だけど、なんとなく雰囲気が固くて話しづらそうだな。
B弁護士は離婚事件はそんなにやってなさそうだけど、話しやすくて些細なことでも親身に聞いてくれそうだな。
という状況であれば、B弁護士を選んだ方がいいと思います。
もちろん実績が十分でコミュニケーションが取りやすい弁護士の方がいいですし、実績が十分な弁護士というのはコミュニケーションが取りやすいからこそ実績が積み上がるのだとは思いますが。
まとめ
以上のとおり、実際に弁護士を途中で変えた依頼者さんの意見を踏まえても、離婚事件の特徴から見ても、離婚事件で弁護士を選ぶ際には、コミュニケーションを取りやすい弁護士に依頼することをオススメします。
どんなに優しそうに見えても自分とは合わないな、と感じたら、その弁護士はやめておいた方がいいと思います。
どんなに怖そうに見えてもなぜかこの人にはなんでも話せる気がするな、と感じたら、その弁護士に依頼するといいと思います。
付き合いが長くなるだけに、ストレスなくコミュニケーションの取れる弁護士が見つかるといいですね。
私もひとりでも多くの方に、
この弁護士は話しやすくて、ストレスなく相談できるわ。
と思ってもらえるように精進します。