こんにちは、リコです。
離婚そのものよりも悩むことが多いので、今日も面会交流のお話です。
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妻の疑問
依頼者さんで、
夫はそんなに面会交流を求めてこないと思います。だって、同居してる時もほとんど子育てしなかったし。
と仰る方がいたのですが、蓋を開けてみたら、
面会は絶対月2回!長期休みには2泊以上の宿泊付き面会!万一面会交流ができなかった時の代替日の設定も必須!
という、かなり高めの要求が。
この夫、かなり高年収なために婚姻費用も高額なので、早く婚姻費用の支払義務を免れるためにも、多少譲歩してでも早めに面会交流条件を決めて離婚に応じるのではないかと思ったのですが、意外にも要求を下げずに粘ってきました。
妻にしてみれば、
今まで全く子育てに関心なかったのに、なんでそんなに子どもに会いたいの?
という感じ。
わかっていない夫
夫にしてみれば、いくら子育てに関わっていなかったといっても、今までは仕事から帰れば当たり前に子どもに会えたのに、それが急に会えなくなったわけですから、少しでも多く長く子どもに会いたい、と思うのはある意味当然だと思います。
だけど、こういう夫に限って、要求に現実味がないんですよ。。。
例えば、月2回の面会交流の実施という要求ですが、この夫はさらに特有の条件をつけていて、その条件の下で月2回の実施というのは、子どもの生活スタイルをかなり狂わせるものなんですよ。
さらに、子どもはまだ小さいので年齢的にも母親と離れてお泊まりをするというのは現実的ではありませんし、しかも夫は同居中からほとんど育児をしていないので、妻からしてみれば、
今までまともに子どもの面倒を見たこともないのに、2泊もなんて、一体どうやって面倒見るの???
と、呆れるしかありません。
そもそも夫は、これまでほとんど育児に関与していないので、言ってみれば、たまに赤ちゃんの顔を見に来て、しばらく遊んでいく親戚と大差ないんですよ。
子どもの夜泣きや風邪を引いた時の対応、しつけなどといったことは全て妻に任せて、自分は楽しい時間だけを子どもと共有してきているわけです。
こんなことを言っている私も当然たまに親戚の子を可愛がるだけの独身者なので、リアルなお母さんの苦労はわかりません・・・
まあ、それは楽しい時間は多ければ多いほどいいし、子どもにとっても嬉しいだろうということで、長時間や多数回の面会交流を希望するのだろうと思いますが、現実にはそうはいかないですよね。
夫と子どもだけの時間が長くなればなるほど、ただ単に楽しいだけでは済まなくなります。
妻はその現実をわかっているので、
最初から宿泊とか長時間の面会交流なんて無理でしょ!
と主張するのですが、それこそ育児に関与してきていないからこそ、夫にはその現実がわからないんですよね。
また別のご夫婦の話ですが、実際に少し長めの面会交流を実施したら、夫がひとりで面倒を見きれなくなり、途中で妻に泣きついて面会交流を中止せざるを得なくなった夫婦もいました。
埋まらない溝
こういう夫婦の溝って、いつまで経っても埋まらなさそうですよね。
この夫婦の場合は、もともと夫がほとんど育児に関与していなかったとのことでしたが、最近増えてきたイクメン夫婦の家庭でも、少なからず同じことは起きている気がします。
つまり、夫は
俺、結構育児やってる!
と思っているのですが、妻にしてみれば、
その程度で育児やった気にならないでくれる?
みたいな。
夫がどんなにやった気でいても、到底妻の期待には届かないという・・・
最近、知り合いもこう言っていました。
俺仕事忙しいのにさあ、子どもが『鬼滅の刃』観たいって言うから、時間作って一生懸命マンガで予習して、子ども連れて映画観に行ったんだよ。すごい頑張ったのに、妻は、遊びに行っただけじゃん、とか言うんだよね。
まあでも逆に夫が妻くらいかそれ以上に育児をしている家庭であれば、そもそも妻が子どもを連れて出て行くということもなさそうですよね。
面会交流調停の行方
この夫婦の面会交流調停は、今後どうなるでしょうか。
調停委員からは、具体的に面会交流の実施が子どもの生活にどういう影響を与えるのか、宿泊するとなるとどういう事態が予想されるのかなど、楽しいだけではない育児の現実を夫にわからせるような書面の提出を求められています。
いっそのこと、一度夫の言うとおりに面会交流をやってみて、
やっぱり無理だったじゃん。
っていう荒療治も考えられなくはないんですけど、結局子どもに迷惑がかかってしまいますからね。。。
あまりにこじれるようだと、家庭裁判所調査官という子どもの調査のプロが手続に加わって、どのような面会交流が良いかを探るための調査を行う可能性もあります。
ただ救いなのは、依頼者である妻が感情だけで暴走しない冷静な方で、面会交流の大切さを十分に理解されているので、たとえ手続がこじれても、継続的な面会交流の機会は確保しつつ、手続を進めて行くことができたらいいなと思っています。
最終的には、お互いがちょっとずつ譲り合って、そこまで事件が長期化することもなく、現実的なラインで調停が成立しました。