こんにちは、リコです。
日々離婚事件を扱っていると、夫婦いずれかの実家が金持ちであるというケースに頻繁に遭遇します。
そのような場合、当事者は決まって同じような反応を示すので、今日はこの辺りについて書いてみようと思います。
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夫婦生活が順調なとき
夫婦いずれかの実家が金持ちである場合、やはり親に頼るケースは多いですよね。
特に子どもにかけるお金はある意味際限がないので、使えるお金があるのであれば、たとえそれが親のお金であるとしても、使おうという発想になる場合が多いようです。
子どもの学費はうちの親が出してくれるって。
ありがたいわね。
とか、
あなたが入れてくれる生活費だけじゃ足りないから、お母さんに援助してもらってるのよ。
なんか申し訳ないなあ。
とか、こんな感じで親の臑を嚙る生活が続いていきます。
離婚の話が出るようになったとき
だけど、夫婦関係が悪化し、離婚の話が出始めると、実家が金持ちである夫や妻は、途端に財布の紐を固く締め始めます。
親の家計と夫婦の家計は別なんだから。俺らは俺らの家計の範囲で生活しなきゃダメだろ。
だからこれ以上子どもの学費は払えないよ。公立に行かせよう。
とか、
いつまでもうちの親に頼れるわけじゃないんだから、もっと生活費払ってよ。子どもにはお金がかかるんだから、親としての責任果たしてよね。
とか言い始めて、これ以上自分の親に頼るなオーラを出すのです。
そうすると、他方の妻・夫には不信感が募ります。
自分自身が今まで散々親の脛を齧ってきたくせに、離婚の話を始めた途端に「うちと親は別」とか言うの、なんなの?
子どものこと何にも考えてないわけ?途中から公立行かせろなんて、どういう神経してんの?
とか、
どうせ金持ってるくせに、なんで俺から絞り取ろうとしてんだよ。
とか、反感を強めてますます夫婦仲は険悪になります。
裁判所的には
この議論、裁判所的にはどうなるかというと、基本的には実家が金持ちの夫・妻の意見が採用されます。
もともと夫婦の家計は、夫婦二人で稼いだ範囲で回していくもの、という風に考えられているので、人によってあるかないかがまちまちな実家に頼ることは前提条件に織り込まれていません。
なので、婚姻費用や養育費を決める際に、実家の親からいくら援助してもらっているとかは原則として考慮されませんし、
財産分与を決める際にも、親からもらったお金は特有財産であるとして、財産分与の対象には含めません。
そりゃそうだよね。
親をあてにしてはいけない
そんなわけで、裁判官が判断するとなれば、実家の経済力は考慮されない結論になるのですが、離婚事件の大半は、裁判官が判断する前に話し合いで終わります(協議・調停・和解)。
そのときにネックになるのは、やはり、
今まで当然のように親の経済力をあてにして、その分夫婦間で大きな顔をしていたにもかかわらず、突然親の経済力をあてにするな、とか言い出す態度
なんですよね。
これがあるから、感情的にこじれるんですよ。
最終的に話し合いで終わるにしても、
これがなければ、もっとスムーズにいくのになあ・・・
というケースはとても多いです。
なので、現在順調に夫婦生活を送っている方は、今後に備えて、自分がこういう態度になってしまっていないか、気をつけてみてください。
自分にその気はなくても、
子どもが良い学校に行けたのは学費出してくれてるうちの親のおかげだからな。感謝しろよ?
とか、
こんな生活を送れているのもうちの両親のおかげなんだからね。感謝してよね。
とか、普通に言ってしまっていませんか?
自分の親に感謝してほしいという気持ちは持って当然の感情だとは思うのですが、なるべく出さない方が良いです。
学費とかは難しいかもですが、生活費を援助してもらっているくらいであれば、むしろ自分の親の脛を齧っていることは、相手に隠すくらいの方が、夫婦関係を円満に続ける上では良いかもしれません。
下手に相手のプライドを傷つけることもないですし、夫婦関係悪化の原因をひとつ減らすことにもなります。
また、仮に夫婦関係が悪化したとしても、相手が自分の親の経済力をあてにして、支払うべきものを支払わない、という事態を回避できます。
逆に、反対の立場からしたら、最初から
相手の親からの経済的援助はラッキーだけどイレギュラーなもの
と肝に銘じておいた方が良いですね。
そうすれば、無意識に相手の親の経済力をあてにすることもなくなりますので、
夫婦関係が悪化して、相手が親のお金を出し渋って来たときにもいたずらに頭に来ることはなくなりますし、
そもそも相手の親からの援助があった際にも自然と感謝の念が湧き上がってきますよね。
結果的に、夫婦関係も円満になるというものです。
そんなわけで、円満な夫婦関係を築く上で、こちらの記事が少しでも参考になれば嬉しいです。